弥彦で12日に決勝が行われたGⅠ「第35回寛仁親王牌」は、犬伏湧也(31=徳島)のカマシ先行に乗った石原颯(26=香川)が番手から捲ってGⅠ初制覇を飾り、2着には3番手を回った松本貴治(32=愛媛)が入った。
犬伏の「一人でも多く年末のグランプリに四国勢を連れていきたい」という思いが結実した形になった。犬伏は8月の松山オールスターを制して、ひと足先にGⅠウイナーの仲間入りを果たしている。GP切符も手に入れたことで芽生えた〝心の余裕〟が、ライン決着を生んだのは間違いない。
ただ忘れてならないのは、オールスターの決勝では石原が犬伏の前で果敢に攻め、GⅠ初戴冠に大きく貢献したということ。その時の〝お返し〟で犬伏が前で積極的なレースを行い、石原がきっちり結果を出したのだ。石原は「犬伏さんに番手を回してもらって勝てないと申し訳ない。車間が詰まったところで踏ませてもらいました」と振り返っている。
今回は四国作戦が功を奏したが、調子や事情によって前後の並びが入れ替わるのは最近の競輪のトレンド。例を挙げれば松浦悠士(広島)=清水裕友(山口)の中国勢、寺崎浩平(福井)=脇本雄太(福井)=古性優作(大阪)の近畿勢、深谷知広(静岡)=郡司浩平(神奈川)の南関勢、真杉匠(栃木)=吉田拓矢(茨城)の関東勢などが思い当たる。これは互いの力量が拮抗しているからこそ、時と場合で起こり得るもの。
四国勢にもこのトレンドに乗るコンビが出てきたのは、今後のGPやGⅠ戦線を戦っていく上で大きなメリットとなったのは間違いない。
◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年9月生まれ、愛知県出身の59歳。92年スポニチ入社。97年から2年間、競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。24年4月に26年ぶりに現場復帰。


